猫ロケット

夜空の星はねこの輝き。アニメ感想とか書きます。

ビビッドレッド・オペレーションの好きなところと納得いかないところ

 やや遅れての視聴ですが、2013年冬アニメ「ビビッドレッド・オペレーション」を観ました。このブログを見て分かる通り、私は同じ高村和宏監督の「ストライクウィッチーズ」の大ファンで、そのストライクウィッチーズと同じ系統の美少女+SF作品だということで期待を持って観始めました。結果は予想通りというか期待通りというか、かわいくてえろくてかっこよくて大変満足しております。

 ……が。

 なんというか、大好きな作品であることには違いないのですが、ストーリーの内容はちょっと納得いかないところも多くて、褒めちぎりたい気持ちと批判したい気持ちが両方あります。そこで、心の整理をつけるためにこうしてブログを書こうと思った次第。

好きなところ

  • キャラクターがかわいい

 いやもうこれに尽きます。変身シーンとか超かっこよかったです。

  • 水着回

 スク水に入るアニメは名作の法則。

  • 主人公の動機がシンプル

 終盤の展開、主人公の目的を世界を守ることではなく「れいを助ける」ことに、いい意味で矮小化してたのは熱いと思いました。

  • わかひま

 うわあああ!うわああああああ!!!

 

納得いかないところ

結末について

 この物語の真相は「平行世界を含めた全宇宙を監視する上位存在*1がいて、人類が示現エネルギーを扱えるほどに成熟しているかどうかテストしている」というものでした。れいの存在を目印にしてアローンを送り込み、それを撃退するだけの力があるか、そして元凶がれいだと分かっても彼女を処分せずにいるだけの思慮があるかどうかがテストの内容でした。ふざけんなって感じですね。

 

 たしかに、そのテストに合格した結果人類は認められ、れいの世界は元通りになりました。

 

 でも、これを友情が世界を救った物語だとしてもいいのか、やや不安が残る結末です。これでは世界を救ったというより、世界を救ってもいいという「許可を得た」に過ぎないわけで。

 

 たしかに友情が世界を救ったかもしれない。でも、危機を作り出した元凶は放置されている。人類は柵の中での自由を得たに過ぎない。人類の置かれた状況は最初と何も変わっていないじゃないかという気持ち悪さが残ってしまい、どうにもこの結末を手放しには肯定できなかったりします。

 この一方的に仕掛けられた「テスト」で、実際に犠牲者が出ています。にも関わらず「テスト」の妥当性そのものについて問う者が誰もいないっていうのは、ちょっと不気味だと思うんですよ。

 

多数の名無したち

 アローンの攻撃によって戦艦や戦闘機がぽこぽこ爆発炎上してるわけですが、それに乗っていた人たちのことは一切言及されません。そんなものはまるで存在しないかのような扱いです*2。加えて「矢」によるアローン強化が被害を拡大させていたことも最後まで触れられないままです。この点は工事現場の子供を助けたことでチャラにされてる感がありますが、それとこれとは話が別でしょう。

 

要望とか

 じゃあどうすれば納得できたかというと、アニメ制作者ではない私には満足な答えなんて出せないし、そもそも整合性が取れたからって面白くなるかどうかは別問題です。なので以下はただの妄言なのですが……

 

 たとえば、一色博士がれいの世界の再生に取り組むとか、示現エンジンの全エネルギーがれいの鍵に流れ込んで、示現エンジンは停止してしまうけどれいの世界は再生されているとか、何かしら「彼ら」の力を借りなくても人類は自分たちでやっていけるんだというのを感じさせて欲しかったなーと。

 

 平行世界周りの設定については、そもそも平行世界とかなくてもいいんじゃないの、という身も蓋もないことを思ったりしました。れいの行動原理としては「家族を救うために、意に沿わないながらも示現エンジンを壊す*3」というのが用意できればいいわけで、異世界周りの設定を削って彼女の背負う運命をもっと単純化しても良かったかなと。たとえば彼女の両親は7年前の事故で亡くなってて、彼女自身も示現エンジンを良く思っていないとか。

 ただ、れいが異世界の住人だという設定は「友情は世界を超える!」というスケールのデカさがあって気分的には盛り上がるんですよね。

 

 あと欲を言えばドッキングが「記憶を共有する」という設定を生かした展開が欲しかったですね。ドッキングの前提条件としてあかねと相手の間に信頼関係が必要なわけですが、これってつまりドッキングはゼロから友情を生み出す装置ではなくて、すでに完成された友情の、さらにその先へと進むシステムだっていうことなんですよね。そこにすごく可能性を感じました。

 普通の少女たちが長い年月をかけて積み重ねていく思い出を、歴史を、一瞬のなかに濃縮すること。それがドッキングシステムの真骨頂なのだと思います。友情の加速装置というか。

 だから、その新しい技術のもたらす新しい友情の形というのを見てみたかった気もします。けどまあ、これは終わったあとだから言える贅沢な文句ですね。

 

 

 

 長々と批判点ばかり書いてきましたが、実際のところ批判ポイントが5,000だとしたら好きポイントは軽く20,000は超えるので大好きな作品であることは変わりありません。ただ、やっぱり心の整理のためにこういうものを書いておきたかったのです。

 

 これを書いた今ではある程度気持ちの整理がついた(豚になる覚悟ができたとも言う)ので、安心してわかひまくださいマシーンに戻りたいと思います。わかひまください。やっぱですねー、ひまわりちゃんの方が若干想いの矢印が大きいと思うんですよ。んで、クラスでも人気者で面倒見もよく周囲からも慕われているわかばを見て、ひまわりは本当に自分でいいのだろうかと不安になったりしちゃって、本当はわかばに真意を問いただしたいんだけど今の関係が変化してしまうのが怖くて、双方とドッキングして二人の気持ちを分かっているあかねはそんな様子にやきもきしてしまうみたいなのください。あとなんやかんやで想いを確かめ合った二人が個人的にドッキングするやつも大歓迎ですからね。お願いしましたからね。

 

公式サイト
ビビッドレッド・オペレーション

 

*1:劇中で名前が出て来ないので、カラスさんの呼び方に従って「彼ら」としておきます

*2:直撃でない場合はパイロットが脱出しているなど、人が乗っていること自体はきっちり描写されているのに。

*3:世界を元に戻すとは言っているものの、れいの「世界」として描写されているのは彼女の両親らしき人物のみです。