クエスト「樹海遊撃隊」その2
ギルド「ネコのテチョウ」は4階の哨戒任務を引き受けることにした。
任務の内容は、3日間の間4階をうろつき、狩れるだけの魔物を狩るという、単純なものだ。
だがもちろん、単純さと難易度が比例するわけではない。3日間も戦い続けるというのは、並大抵のことではないだろう。特に「ネコのテチョウ」は迷宮での夜営は未経験だったから、何が起こるか分からない。
この迷宮では予想外のことは日常的に起こるのだ。
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任務が始まった。これから72時間の間、4階をうろつき、狩れるだけの敵を狩る。
これまでの探索では、戦闘は目的ではなく、単なる障害であった。安全に先に進むことが第一義で、武器を取るのはやむを得ない場合だけだ。
だが今回の任務ではそれは全く逆で、魔物を倒し、殺し、狩り、駆逐することが目的だ。
それは「ネコのテチョウ」のメンバーが思っているよりも過酷な任務となるだろう。
とはいえ、彼らがその過酷さを思い知るのはもう少し後のことだ。今はまだ、メンバーの5人は比較的穏やかな気分で4階を歩いていた。
樹海は、魔物さえ出なければピクニックにうってつけの場所である。色とりどりの草花が咲く景色は目にも優しく、時折吹き抜けるやわらかい風は木々の間を通りさらさらと葉擦れの音を立てていた。日陰に残った朝露から立ち昇る、むせ返るほどの植物の匂い。
遠くの木々からは、魔物ではない普通の鳥たちの鳴き声が反響している。
魔物とはまだ遭遇しない。一行はやや拍子抜けしながらも、最初の食事を摂った。