猫ロケット

夜空の星はねこの輝き。アニメ感想とか書きます。

「小説版 魔法少女まどか☆マギカ」と「The Beginning Story」読んだよ

 「小説版 魔法少女まどか☆マギカ」読了。去年の夏に買ったのが読まないまま積んでしまっていた。
 アニメ版をまどかの一人称で再構成した小説。テーマ的には彼女の友達観が軸となっていて、友情の物語であることが強調されている感じ。基本的にはアニメ版の補完的な内容で小説版独自の設定や展開はないものの、まどかとさやかが出会いについて言及したのはたぶん小説版が初?

 自分はさやかの友人として何もできていないという劣等感から始まり、友達とはどういうことだろう、友達のためにできることはなんだろう、とまどかが苦悩していくおはなし。物語の展開に合わせて主人公の友達観が変化していくのが興味深い。当初は劣等感の裏返しとして「何かしてあげなくちゃいけない」と思い込んでいたのが、次に「何もできなくてもそばにいること」、最後にはもう一歩踏み込んで「その人が好きだということ」ところに至る。

 小説版を読むとまどかが救済の魔女になっちゃうのは納得できる気がした。
 友達のためにできること、の認識が未消化の状態で力を行使してしまったのが救済の魔女クリームヒルト、彼女なりの結論にたどり着いた姿がアルティメットまどか、という見方もできるんじゃないだろうか

小説版 魔法少女まどか☆マギカ
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 あと「魔法少女まどか☆マギカ The Beginning Story」も読む。
 こっちは小説ではなくアニメのシナリオそのもの。実際に本編が制作された「決定稿」と、その以前の版である「0稿」を比較するという内容となっている。とはいえ決定稿と0稿の違いはほとんどなく、基本的にはTVアニメ12話という枠内に収まるように分量の調整が行われただけの変更にとどまっている。
 でもまー、10話でカットされた分のマミさんが新米のほむほむにダメ出しするシーンは見たかったかもw

 まどか☆マギカを見る限り、虚淵玄は理詰めでシナリオを構築するライターだという印象がある。いや、どんなシナリオライターだって論理的に書くものだろうけど、まどマギは無駄なエピソードがなくて緻密にぎっちり構成されてるぶんその印象が強いというか。
 この作品は1クール12話で正解だったのかもしれないなー。ぎりぎりまで物語を切り詰めたおかげであの爆発的な瞬発力が生まれたのだろうし。

 あとは、必ずしも正しくはない人間、敗れた者や取り残された者を描くのが上手い人だというイメージかな。これはもう完全に「そういう気がする」というだけなので、他の作品見てみないと分からないのだけど。


魔法少女まどか☆マギカ The Beginning Story
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4041100453


 ちなみにこの表紙、Amazonの画像では分からないが、ほむらの後ろにアルティメットまどかが描かれている。