猫ロケット

夜空の星はねこの輝き。アニメ感想とか書きます。

「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ」前編みた

 「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ」前編を観てきたので、とりとめのない内容ではあるが忘れないうちにメモしておく。
 音楽よかったのでサントラ欲しい。またBDのおまけについてこないかな。
 後編の感想はこちら


・公式サイト
劇場版 魔法少女まどか☆マギカ

  • OP良い。まどかちゃんヒストリーで泣きそうになった。
    • 「お前らどうせ初見じゃねえんだろ?」と言わんばかりのまどほむ推し。予想以上にまどほむ。
    • なんか小説版ではまどかは弟の誕生を契機に見滝原に引っ越してきたような記述があったけど、前編OPを見る限りだと昔から見滝原に住んでいるか、もしくは幼い頃は見滝原に住んでいたという風に読み取れるな。
    • 生まれた街から一度も出たことがないという設定の方が、彼女の劣等感や閉塞感にはふさわしいのかもしれないが。
  • マミさんはまどかちゃんから見た憧れの先輩としての面が強調されてるような印象。
    • 変身シーン超優遇! テーマ曲追加! 花増量! ドキドキの魔法タイムへようこそ!
    • 彼女が魔法少女になったエピソードが削られていたのは、単に尺の都合かそれとも劇場版独自の演出なのか。
    • もう何も怖くないのポーズは初版が好きです。
  • さやかちゃんの変身シーンすごくなってる!
    • 総集編でもホスト出てくるのかよ! い、いやまあ、溢れそうなコップに最後の一滴を注ぐという意味では重要なシーンではあるけど。
    • まどかに酷いことを言ったことを後悔する台詞がカットされてたな。私はあれ好きだった。自分で自分がコントロールできなくなってる感じが伝わってきて。
  • あんこちゃんかわいい!
    • さやかを挑発する際の過激な発言は、逆に彼女にそういう実体験がないことを物語っているような気がする。人を見殺しにした経験はあっても、直接傷つけたりすることには慣れてないのだろうなーと。
    • 通しで観て初めて気づいたけど、バトルの翌日にいきなり身の上話ってのも、あんこちゃんはあんこちゃんでそれなりに非コミュだよな……
    • さやかへの態度が急に変わりすぎとはよく言われるが、本心では今の自分を変えたいと思っていた時に昔の自分のような人間を見かけたら、こういうもんなのかもしれない。
  • 学校帰りのファストフード店、仁美と別れてまどかとさやかがCDを買いに行くシーンで、まどかもさやかもまだ食べかけなのに席を立ってる!
    • たぶんあまり言及されなさそうなことなので忘れないようにメモ。
    • まどかちゃんはごはん残すような子だったのね!
    • さやかちゃんホットドッグまだ半分くらい残ってるよ!
    • 劇場版でカットされたシーンでは、ほむらちゃんもコーヒーを飲まずに席を立ってたりする。
    • この場にあんこちゃんがいたら……!!!
  • さやかちゃんはホットドッグどうしたの問題。
    • 1.食べてない 2.食べてからCD屋さん行った 3.持ち帰り用に包んでもらった
    • 2か3だな。
    • 2か3だ。
    • その後マミさんちにお呼ばれしてケーキも食べてるまどさやマジ成長期。満漢全席!
  • 一緒に観にいった知人とも話してたのだけど、まどマギは圧倒的にシナリオ偏重の作りで、脚本に合わせてキャラを配置する傾向が顕著だ。
    • それは伏線の巧妙さや物語の緊張感に繋がってるので、もちろんこのアニメの魅力ではある。
    • 反面、ストーリーとの関わりが薄い部分でのキャラクター設定がぞんざいなところも。こんだけキャラクターグッズ売るなら後付けでいいから誕生日くらい決めとけよ!
    • まあ、それだけ物語としての純度が高いという言い方もできるか。たとえば設定上ほむらちゃんの両親や保護者にあたる大人が出てこないのは変なんだけど(彼女は一人暮らしをしているように見える)、その辺に触れるとお話の軸がぶれるのでばっさり切ってあるのは適切な判断だなーと。「いるけど登場しない」くらいが妥当な解釈かな。
    • テキストベースでは薄いはずのキャラクター性を声優が大幅に補っている、というのもこのアニメの面白いところだと思う。
    • 巴家からの帰り、まどかとほむらが並んで歩く場面なんかは中の人すげえと思い知らされた。後編でさらにいろいろ思い知りそうだが。

うんこを漏らした増田拾い読み

 はてな匿名ダイアリー(増田)でキーワード「うんこ」を含む記事の中から、うんこを漏らした記事をまとめました。

 ちなみに「増田」は「はてな匿名ダイアリー」を指す俗称で、記事および記事の書き手、あるいは匿名ダイアリーそのものを指します。この日記では主に記事の書き手の意味で使っています。

 トイレ以外の場所で意図せず排便することは全体的にみじめな体験として描かれており、自尊心に関わるものとして語られます。私がはてなブックマークで「人生」タグを付けることが多いのはそういう意図によるものです。

聞いてくれ、大切なことなんだ
 タイトル通り。
酔ってうんこ漏らした
 女性と二人で飲みに行き、吐いた上に漏らしてしまった増田。
うんこもらした
 『うんこをもらしていないという状態がこれほど快適だとは知らなかった』は当事者にしか語り得ない実感がこもっているものだろう。
家の前で盛大にうんこ漏らした
 『絶望と孤独。全てを出し切った俺にはこの2つだけがのこった』という発言は、希望だけが残ったパンドラの箱を想起させる。
 だが本人がつけたトラックバックでは案外平気そう。時間が人の傷を癒すことが分かってほっとした。
28歳なのにうんこ漏らした
 まー、30代で漏らした増田もいるので。

 うんこを漏らして夜中にパンツを手洗いしていたところ、夜中にパンツを手洗いしていた理由を妹に勘違いされたらしい。
会社でうんこを漏らした
 『「できるビジネスマンはなぜうんこを漏らすのか」』
また今朝もうんこを漏らしたわけだが
 痔ろう手術の影響で排便の制御が半ばできなくなっているため、寝ている間に漏らしてしまうことがあるらしい。
 目が覚めてシーツが汚れていることに気づいて落ち込む様子が痛々しい。

 う、うん。
駅のトイレでおしっこしようとしたら下痢漏らした
 大を堪えつつ小だけ、というのはなかなか難しい。
僕も会社でうんこを漏らした
 腸炎を患う増田は定期的に漏らしてしまうらしい。漏らした際の具体的な対処などが書かれている。増田はあらかじめ同僚に事情を説明しているそうだ。
ウンコヤバイ
 知り合いの前で漏らした増田。
ありえねー
 2011年の正月早々に漏らした増田。
うんこ漏らした。その対処法とか。
 駅によってはトイレに紙がないらしい……
これもウソだったらよかった
 23歳にもなって…と語る増田だが、こういうのは年齢の問題じゃないっぽい。
うんこ漏らした / 続・うんこ漏らした
 増田はウイルス性胃腸炎を患っているらしい。寝ているときに漏らすことが続くと寝るのが怖くなるってのは切実だ。
31歳になって盛大にバリウム入りのうんこ漏らした
 冗談めかして書いてあるけど「肛門を閉めようとしてもなぜか閉まらない」ってかなりの恐怖体験だよな…
うんこ漏らした
 「30過ぎてうんこ漏らすとは思わなかった。」と語る増田(というかこれが記事の全文だ)。
 上に挙げた記事にもあるように、年齢を気にする人はけっこういる。根の深い問題かも。
うんこを漏らした
 「あと10mくらいで間に合わなかった」。
通勤中にうんこを漏らした
 通勤中の駅で漏らした増田。コンビニで買った消臭スプレーを念入りにかけたものの、周囲に気づかれるのではないかと仕事に手につかなかったらしい。
 うんこ漏らした日くらいは会社休みたいよね。
http://anond.hatelabo.jp/20120811095011
 コンビニのトイレでベルトを外す直前で間に合わなかった増田。
 これに限らず、トイレまでは辿り着いたけどそこで漏らしてしまった事例はけっこう見かける。気の焦りとか体勢の変化とかが影響してるんだろうか。
オレははてなが好きだ
 『うんこ漏らした系の増田を楽しそうにまとめる方もいる』
 いや、誰か既にまとめてると思ったのに誰もやってないから……
http://anond.hatelabo.jp/20130612102930
 年に20回というと約三週間に一回のペースか。換えのパンツは常にカバンに入っているというあたり慣れてしまっている様子。
 こういう体質で電車通勤というのは大変そうだ……
http://anond.hatelabo.jp/20130613090644
 上記の増田が、後日また漏らしたとのこと。
うんこもらした(8年ぶり2度目)
 駅のトイレ前で決壊した増田。すでに並んでいた人の列に無言で割り込むところも、和式便器で靴やズボンを洗うところも、その場面を想像してすごく辛かった。
 でも着替えを持ってきてくれる母親がいることだけは救いだと思う。
はじめてうんこをもらしました
 飲み会から帰宅後に漏らした増田。初めてなのでショックが大きかったらしい。
http://anond.hatelabo.jp/20130829092328
 『間に合ったと思ってしゃがもうとしたらどばっと出た』
往来でうんこを漏らしました
 彼女を駅に送るのを諦めてまで帰宅したものの、家から2分くらいのところで間に合わなかった増田。
 『この日以来、彼女のちょっとしたミスやお茶目をいじっても、『お前なんか往来でうんこ漏らしたくせに』という心の声が聴こえるようになり、どうにも居心地が悪い』

まどか☆マギカ×寿司ネタまとめ

 タイトルの通りのまとめです。
 なぜこんなまとめを作ったかというと、まどマギと寿司が好きだからです。好きなキャラが好きな食べ物を食べてるのってすっごく楽しいですよね!!

 下記のリストはほとんどがGoogle検索の範囲で目についたものを中心にまとめています。そのため僕が知らないだけで他にもたくさんあるかもしれません。
 その場合はぜひコメント欄などで「こんなのあるよ!」と教えて頂ければ。

 ちなみにお察しの通り恵方巻き絡みのネタはたくさんあるので、気になる方は「恵方マミ」あたりで検索すると吉かも。

■SS

 もしもマミさんの契約の願いがマグロだったら……?
 寿司万能説なSS。ワルプルを倒す鍵はマグロにあったんや!

 マミさんたちが回転寿司に行くのは後半。
 マミさんが注文の順番や食べ方でほむらと張り合って一人相撲をとってる描写、何だか泉昌之の「食の軍師」みたいで好きです。

 まどかはプリンに醤油をかけることを強いられているんだ!
 仁美がいい感じにクズいSS。

 回転寿司トリビアSS……でいいんだろうか。
 まどかは原価厨。

 マミさんの食べっぷりがすばらしい。寿司以外も食べます。 

 えー、拙作。タイトル通りです。

■動画

 「美味しく食べられるお寿司」の作り方。シャルロッテちゃん食べてみたいかも。

 さやかの髪に使われる謎の青い液体の作り方が楽しいです。杏子は普通に美味しそう。

■同人誌

 狗古堂さんの同人誌『もしも魔法少女が寿司屋に行ったら』の紹介ページ。
 残念なことに本自体は手に入りませんでした。

■その他

 とある寿司屋のメニューがまどマギ仕様になっている模様。

1.5人前
【上】焰<ほむら> 2,380円
【並】巴<ともえ> 1,480円

1人前
【上】円<まどか> 1,380円
【並】杏<あんず> 830円
【並】助六<すけろく> 600円

 さやかちゃんだと思った? 残念、助六でした!

*1:2012/08/26追記

ほむらとさやかとマミと杏子がお寿司を食べに行くおはなし

 「魔法少女まどか☆マギカ」の二次創作。
 ほむほむとさやかちゃんとマミさんとあんこちゃんがお寿司を食べに行くお話です。



hello,summer
1.
 よく晴れた日だった。日差しは柔らかく、空気は暖かい。放課後の空はどこまでも広がっている。それは心地良い解放感と、ひと握りの寂しさを感じさせた。
 暁美ほむらは、校門のそばに一人佇んでいた。
 艶やかな黒髪を腰まで伸ばした、落ち着いた雰囲気の少女だ。周囲の少年少女たちと同じ制服を着て、まっすぐに立っている。その隙のない雰囲気はどこか近寄りがたい印象を与えていた。
 不意に強い風が吹いて、その長い髪がふわりと浮かぶ。ほむらはその風に髪を流しながら、視線を空から戻した。
 校門から伸びる並木道を、帰途に着く生徒たちがめいめいに歩いている。おしゃべりをする者やふざけ合っている者たち。これから遊びにいく相談をしている者たちもいるのだろう。もうじき夏を迎えようかというこの季節は、授業が終わった時間帯でもまだまだ明るい。生徒たちの足取りもどこか軽いようだった。
 ――ブブブブブ……
 鞄の中から振動音がする。ほむらは携帯電話を取り出し、メールが着信していることを確認した。差出人は巴マミで、ほむらの上級生にあたる人物だった。もうじきやって来るという文面が、可愛らしい絵文字つきで書かれている。ほむらは了解した旨を返信した。
「あ……」
 携帯電話をかばんにしまう途中、道の片隅で立ち止まっている女子生徒たちが目に入る。彼女たちの視線の先には一匹の黒猫がいた。ほっそりとした体躯に光を吸い込むような真っ黒な毛並み。ただ何ということもなくそこにいるだけだが、少女たちの気をひくには十分だろう。当の猫は人間たちに見られていることを意に介する風でもなく、思うように毛づくろいを続けていた。前脚を舌で舐め、その脚を顔に擦りつける。
(猫が顔を洗うと雨、だったかな)
 その仕草が愛らしくて、ほむらはかすかに目を細めた。
「ほむらゲットー!」
 突然の声と共に、いきなり後ろに衝撃を感じた。振り向く間もなく後ろから抱きつかれて身動きを封じられる。
「成績優秀、スポーツ万能のクールでミステリアスな転校生! その上動物好きとかどこまで萌え属性つける気だー! うりうりー!」
 言いながら、声の主はほむらの頬を指でつついてくる。痛い。
「ちょっとっ、離して」
「うりうりー!」
「……さやかっ!」
 身をよじって振りほどくと、相手も本気で拘束するつもりはなかったのか、存外あっさりと解放された。
 多少の怒りを込めて振り向くと、そこにはほむらと同じ制服を着た少女が立っていた。肩まで伸ばしたショートカットに、やけに楽しそうな瞳。彼女――美樹さやかは悪びれた様子もなく言った。
「いやー、近づいても気づかないもんだからつい」
「だからっていきなり後ろから抱きつかないで。だいたいモエって何なの」
「さらに天然も追加だとー!? やばいマジ天然記念物だ! さやかちゃんが保護しちゃうぞー」
 再び両手をわきわきさせるさやかを横目で睨みつけるものの、だんだんと気勢が削がれていくのを感じる。ほむらは少し息を吸い込んで、吐いた。
「普通に話してほしいのだけど」
 それが一区切りということなのだろう、さやかは普段の口調に戻って、言った。
「普通と言えばさー、そもそも同じクラスなんだから一緒に出ればいいじゃんか」
「それは……何か用事があるみたいだったから」
 実際、ほむらはその通りにしようとした。だが、数名のクラスメイトに囲まれて何か話しているらしいさやかを見て、何となく声をかけづらくてそのまま教室をあとにしてきたのだった。
「用事? そういうんじゃないよあれは。というよりほむらの話だったんだからその場で来てくれれば早かったのに」
「私の?」
「そりゃそうだよ。クラスではあんだけ近寄りがたい雰囲気を出しときながらあたしとは普通にしゃべってるんだもん、理由を訊かれて当然でしょ。どうやって仲良くなったのーとか暁美さんの趣味はーとか」
「理由、ってまさかあなた……」
 二人はある重大な秘密を共有していた。魔法の契約。
 彼女たちはインキュベーターと呼ばれる存在との契約により、願いを叶え、その代償として、魔法の力をもって魔獣と戦う宿命を課された子供たちだ。
 それを秘密にする決まりがあるわけではないが、人に話しても面倒が多いばかりでいい事はない。暗黙の了解として仲間以外には口外しないことにしていた。
 やや声を緊張させるほむらに、さやかは手のひらをぱたぱたと振ってみせた。
「もちろん本当のことは言えないから適当にごまかしといたけどね。でもまあ、もうちょっとはあたし達以外とも話したりしてもいいんじゃない?」
 言われてみれば思い当たるふしがある。基本的に必要な事以外はあまり口を開かないし、話す相手も美樹さやかか、彼女と一緒にいるときにその友人の志筑仁美と会話する程度だった。自分としては普通に過ごしているつもりだったが、周囲からは奇妙に見られていたのだろう。
 それを当のさやかに指摘されてしまったのだ。そうね、と素直に頷く気もしないので、何となく曖昧に答えておく。
「つーわけで明日ほむらを入れてみんなで学校近くの喫茶店行くことになったから」
 頭に冷水をかけられたような気がした。
「どういう事かしら」
 長い髪をかき上げ、声が出そうになるのをすんでのところで抑える。幸いさやかにはその動揺を気取られなかったようだ。彼女は、いやあほら、などと気まずそうに笑いを浮かべている。
「言ったでしょ、適当にごまかしたって。そしたらなぜかそういう流れにさあ……まあ、あたしのためと思って頼むよ」
「よくその場にいない人間の約束ができるものね」
「だーってさ、あいつらしつこいんだもん。ほむらの好みなんかむしろあたしも知らないのにね。ああ、甘いもの大丈夫だよね。マミさんちで普通に食べてたし」
「あのね、私は別に行くとは……」
 確かに明日は特に予定はない。明後日もだが。実を言うと、その次の日も。
 しかし、だからといって。
 心が冷えていくのを感じる。別にさやかやクラスメイトの女子たちに怒りを感じているわけではない。だが、唐突に思ってもいなかった場に引っ張り出されて、気持ちがこわばっていくのを感じていた。
 ――断ろう。
 だが、ほむらが口を開きかけた瞬間、さやかがそれを制した。
「ほむらの言いたいことは分かるよ。でもさ」
 ふいにさやかの顔に緊張が浮かぶ。
「正直言ってこれが最後の機会だと思う。あの子たちだっていつまでもほむらに興味持ったりしないよ。他の子達もそう。別に仲良くしなくてもいいけど、闇雲に遠ざけたっていいことないよ」
「今日はずいぶんお節介なのね」
「そうさ、お節介さ。放っておけなくて」
 さやかは拳を握りこんだ。
「その……あたしたちは他の子とはだいぶ違う体になっちゃったけどさ、それでもあたしはあたし、ほむらはほむらだよ。その事を考えてるんなら、あんまり気にしないほうがいいと思う」
 さやかはほむらから視線を外して、直視を避けた。
 おっかなびっくりしゃべっているのは、彼女がまだ自分の言葉を腹の底まで飲み込めていないからなのかもしれない。きっとさやかもまだ、自分自身に言い聞かせている途中なのだと、ほむらは直感的に分かった。
 それでもほむらに話してくれるのは……ほむらもまた同じ事で苦しんでいると考えているから、なのだろう。ほむらを助けたいと思ってるのだ、彼女は。
「……いつもそのくらい冷静でいてくれたらね」
「どういう意味?」
「いえ、気にしないで」
 ほむらは天を仰いだ。
 もうこうなったら正直に認めるしかないのだろう。自分の気持ちを。
 決意とも諦めともつかない複雑な気分だった。あるいはどちらも同じ事なのかもしれない。いずれにせよ前に進むしかないのだから。そう、進むしかない。時間は止まらないのだから。
「悪いけど、別にそういうことじゃないわ。単に…………苦手なのよ。こういうことが」
「え?」
 なかば自棄になりながら続ける。
「教室で声をかけられるくらいならあしらうことはできる。けれど、喫茶店に行くのならわざわざ話をするために集まるのでしょう? 私は流行の話題には詳しくないし、彼女たちを退屈させてしまうかもしれない」
「……あはははは!」
 暗い顔から一転、大口を開けて笑い声をあげたさやかは、ばんばんとほむらの背中を叩き始めた。払いのけても一向にやめる気配がない。まるでボタンを押しても止まらない目覚まし時計のようだ。
「ちょっとっ!」
「オッケーオッケー! 心配して損したよ。そういう事なら大丈夫だ、うん」
 背中を叩かれ続ける痛みとは裏腹に……いや、実際痛いのでやめてほしいのだが……ともあれ、ほむらの胸には奇妙な安堵感が湧いていた。
 認めざるを得ない。彼女は……美樹さやかは頼りになる友達だ。
「妙に嬉しそうね」
「いやあ、なんかこう、いじりがいのある相手がいなくてさ。仁美にはこういうことできないし。よし、ここは一つ放課後暇を持て余したさやかちゃんがいろいろ特訓してやるとするか! ああそうそう、あたしが言うのもなんだけど、悪いやつらじゃないよ。ちょっとウザいかもだけど」
「あなたに言われたくないんじゃないかしら」
「そうそう、そんな感じで行けば問題ないって」
 はあ、とほむらはまたため息を付いた。さやかといるとため息の回数が増えてくる。
 幼馴染の少年が退院してからというもの、彼女はどうも暇と元気のやり場に困っているらしい。他人の世話を焼きたがる彼女の性格は、まあ、おおむね長所だ。だが、それがほむらに向けられるとなると話は別だった。もう少し放っておいてくれるほうが気楽ではある。
「そういえばさ、最初に聞こうと思ってたんだけど。ほむら、ケータイ持ってたんだ」
「一応ね。巴さん、もうすぐ来るそうよ」
 言うが早いか、遠くに巴マミが見えた。
 ほむらやさやかの一つ年上で、上級生にあたる人物だった。おっとりとした雰囲気の少女だ。動きが遅いわけでもないのにどこか悠々とした印象を抱かせるのは、彼女にそういう天性が備わっているということなのだろうか。
 だが今は、ピンク色の丸っこい携帯電話とにらめっこしながら、整った唇をわずかに尖らせていた。全体的に大人びた雰囲気の彼女だが、困った顔をすると少し幼く見える。が、さすがにそれを言うと気を悪くするだろう。
「おーいマミさーーん!」
 さやかが呼びかけると、マミは顔を上げて、桜のつぼみが開くように微笑んだ。
「おまたせ、二人とも」
「いえいえ全然待ってないっすよ。ところで、何かあったんですか?」
「うーん、何かってほどのことじゃないのだけど……」
 それからマミはほむらの方を見て、ほむらを責めるわけではないことを前置きしてから、言った。
「暁美さんのメールっていつもそっけないのよね。『分かりました』とか『了解です』とか」
「……別に他意はありません」
 本当に、他意はなかった。意外と細かい事を気にするタイプらしい。
 たしかに、かわいらしい顔文字や絵文字を駆使するマミのメールに対して、用件だけを返すのは少し簡素に過ぎるかと思ったこともあるが。
「あまり、柄じゃないと思って」
「ていうか、なんでテレパシーで会話できるのにメールで連絡してるんですか?」
 そういえば、そうだった。ほむらたち魔法少女はそういう芸当も可能だ。というより、魔力が許す範囲内でほぼ何でもできると言ってもいい。テレパシーは難易度の低い部類の技術だった。
「魔法は必要最低限だけ使うべきだわ。テレパシーも魔法である以上、ごくわずかだけど魔力を消費してしまうしね。それに、こっちのほうが大事なんだけど……あまり無闇に魔法を使うと生活の感覚がおかしくなってきちゃうから」
「感覚?」
 首をかしげるさやか。マミはうーん、と人差し指をあごに当てた。
「たとえば、棚の高いところにある食器を取るのに、台を使わなくても魔法で取っちゃうことはできるでしょ。でも、そういう風に考えてしまうのはすごく怖いことだと思うの」
 その何気ない発言には実感がこもっている。きっと実際にそういう経験があったのだろう。ほむらは密かに感心していた。
 思えば、魔法少女として日常生活を送ることについては、巴マミに一日の長がある。
 ほむらは戦いのためだけに魔法を使ってきた。すべてを一つの目的に捧げてきた。その目的が終わってしまったあとのことなんて考えもせずに。
 だから、巴マミには学ぶところが多いのではないかと感じていた。彼女は、生きることと魔法少女であることが重なっている人物だから。
「そうかなあ。魔法で取っちゃえばいいんじゃないですか。すごく便利そうだけど」
「駄目。あなたたちは人間をやめたわけではないわ」
 ほむらから思いがけず放たれた強い言葉に、二人の注目が集まる。
「あなたは、あなたよ、美樹さやか」
「何それ、さっきの仕返し?」
「言葉通りの意味よ」
 自分がやや飛躍したことを言っているのに気づき、ほむらは口ごもる。だがマミには何となく伝わったようだった。
「まだ魔法少女になりたての美樹さんには分かりにくいかもしれないわね。でも、それならそれで先輩の言うことは素直に聞いておくほうがいいんじゃないかしら。怠けると太っちゃうわよ?」
「う……それは」
 マミの勝ちだ。その発言にもある種の実感がこもっているような気がしたが……確認するのはやめておこう。
 勝利宣言というわけでもないのだろうが、マミは手首の内側を顔に向けて、腕時計を確認した。
「さて、と。皆揃ったようだしそろそろ行きましょうか」
「あれ、杏子は?」
 さやかが言ったのは、もう一人の魔法少女、佐倉杏子のことだった。ほむら達はその佐倉杏子を含め、四人でチームを組んでいた。
 ほむら達に限らず、魔法少女はよくグループを作っている。それは複数人で戦うほうが効率がいいからだし……大抵の場合、魔法少女は孤独だからだ。
 杏子もまたほむら達と同年代の少女だが、彼女は事情があって学校には通っていない。日中はその辺をフラフラしているはずだった。
「佐倉さんも近くにいるのよ」
 ふふ、と笑ってみせる。
 こういう時の彼女は楽しそうだ。
「佐倉さんとテレパシーで話をしたの。彼女は電話を持っていないものね」
「えーっ!? なんかずるいよーな」
「せっかくの魔法だもの、有意義に使いましょう?」
 そういってマミはさやかに向かってウインクする。
 そんな芝居がかった仕草が嫌味にならないのがこの人のすごい所だと、ほむらは思った。


2.
「小さいときに一度だけ、家族で回転寿司に来たことがあるんだよ」
 四人がけのテーブルに座りながら、佐倉杏子はそう言った。
 合流した四人は、目的地に向かう前に軽く何か食べていこうということで、近くの回転寿司店に来ていた。どこにでもある大衆向けの店だ。店内をぐるりと一周するベルトコンベアの上を寿司を乗せた皿が所在なげに流れていて、コンベアを囲むように座席が配置されている。
 夕方のこの時間帯はまだ混雑しておらず、人のざわめきも少ない。店内では、流行歌を和風にアレンジした音楽がゆっくりと流れていた。
「何を食べたかなんて覚えてねえんだけどさ。ただ、子供心に寿司が回ってるのが楽しくてはしゃいでた記憶が、ぼんやりあるような気がするんだよな」
 中学校の制服をほむらたち三人とは違い、杏子は私服だ。長い髪をポニーテールにまとめ、パーカーを羽織ってショートパンツを履いている。可愛らしさよりも動きやすさを重視した服装だ。これはこれで似合ってはいるが、きっと彼女はファッションになんか興味ないだろう。
 猫のような瞳に鋭い光を宿した、気の強い少女だ。言いたいことを言い、やりたい事をやる。裏表がなくて信頼できる人物だとほむらは思っていた。
「今見ると、ただ回ってるだけなんだけどさ」
 ただ、意思の強さを宿す瞳も、過去の思い出を語る今はかすかに光が揺れているようだった。
「子供のころは、家族とお出かけするだけで楽しいものよ。きっと佐倉さんもそう。場所なんて関係ないんだわ」
「……そういうもんかもな」
 そして杏子はベルトコンベアを流れてきた唐揚げの皿を取った。
「って、いきなり唐揚げ取ってるし!」
「別に何から食ったっていいだろ」
 言いながら早くも一つ目の唐揚げを口に入れている。
「寿司屋に来たんだからせめて最初くらいは寿司を食べなさいな」
「お寿司屋さんに唐揚げなんてあるのねえ」
「マミさんまで……」
「あら、もしかして美樹さんは鍋奉行タイプなのかしら」
「じゃあさやかは何を食うんだよ?」
「えーと、じゃあ、あたしはこれで。すいませーん、炙りサーモンください」
「あ、みてみて、デザートもあるわよ」
 そんな騒がしい三人を横目に、ほむらも流れてきた玉子を取る。
 白い酢飯に黄色い卵焼きがどっかりと乗っていて、その両者を黒い帯できゅっと締めるように海苔が巻いてある。手でつかむのか箸を使うのか一瞬迷ったが、箸を使うことにした。
 口の中に入れると、ひんやりとした食感がした。卵焼きは甘くて美味しかったが、酢飯が乾いてややぱさついていた。なるほど、コンベアを回っている間に乾いてしまったのだな、と思い当たる。
「すいません、玉子ください」
「……ほむらも大概マイペースだよな」
「やれやれ、魔法少女が集まっているから様子を見に来てみれば」
 全く唐突に新たな気配が生まれた。人――ではない。猫ほどの大きさの小動物だ。
 ぬいぐるみのように可愛らしい容貌、真っ白でつややかな体躯、神秘的な長い耳、そこにいるという現実感が全くない生き物。
 すべての魔法少女の水先案内、キュゥべえだ。あらゆる魔法少女は『それ』との契約によって生まれる。
「その気になれば食事を摂らなくても生きていける体の君たちが、こんなことで大騒ぎしているとはね」
 キュゥべえはその可愛らしい容姿とは裏腹に、何の感情もこもっていない声で淡々と告げる。
 ほむらの視界の隅で、箸を持つさやかの手が止まる。
「そう、なんだ」
 その呟きを質問と受け取ったのか、キュゥべえはさらに続ける。
「君たちにとって肉体は魂の乗り物に過ぎないと説明しただろう? 乗り物を動かすエネルギーが食事によるものか魔力によるものかの違いでしかないさ。もっとも、あまりおすすめはしないな。いたずらに魔力を消費して、戦いのときに全力が出せないのでは困るしね」
 困る、などと言いつつも他人事のような響きなのは、キュゥべえにとって魔法少女は代えのきく資源だからだ。死ねば損失だが補充は可能である。実際、今もこの世界に何百人という魔法少女たちがいて、何人かが新たに契約し、そして何人かは力尽きて人知れず姿を消しているはずだった。キュゥべえにとって一人一人の生き死には取り立てて重要なことではない。
 だが、むろん敵というわけではない。利害は一致しているし、今のところそれが崩れそうな兆しもなかった。
 それは分かっているのだが、湧き上がる苛立ちだけはどうしようもない。
 とはいえキュゥべえを言い負かすことはできない。根本的に価値観が違う彼らには皮肉も罵倒も届かないからだ。だから、せめて……
(耳を引っ張ってやろう)
 それを実行に移すべく腰を浮かせかけたとき、向かいに座る杏子が口を開いた。
「メシ食わなきゃ生きてる意味ないだろ」
 単純なその一言は、ほむらがうまく手にすくえなかった苛立ちが形になっていて、胸がすく思いだった。
 彼女の言葉には力がある。それは魔法とは別の、彼女自身の資質なのだろうと思えた。
 ほむらは心が晴れていくのを感じた。同時に、今後は同じ質問には杏子と同じ言葉を返そうと決めていた。
 それと、やはり耳はつねっておくことにした。
「それに見たところあまり効率もよくなさそうだ。食器が自動で運ばれているのは何か意味があるのかい?」
「はいはい、おしゃべりはそれくらいにして、こっちにいらっしゃい」
 見かねたマミが床の上に立っていたキュゥべえを持ち上げて、膝に乗せる。
 それを見たほむらは、そのキュゥべえの耳をつかもうと手を伸ばした。ちょうど、身を乗り出してマミの目の前に手を差し出す格好になる。
「ほむら、どうかしたのかい?」
「さっきも猫見てたしねー。ほむらって意外とかわいい系好きだよね」
「コレ、猫かあ?」
「猫……ではないわよね」
「違う、私は……」
 だいたい、もしかして、今のやり取りを気にしていたのは自分だけなのか? 三人とも普通に食事を続けているし、特に変わった様子もない。さやかの手が止まったのもたまたまなのか? いや、そんなはずはない。たしかにこの目で。
 振り上げた拳を下ろすのが居心地が悪くて、ほむらは意味もなく髪をかき上げる。
 ……食事中なのにちょっと行儀が悪いかもしれない。一体いつの間にこんな癖がついたんだろうか。
「んーーーーーーーーーっ!」
 ほむらが一人で考え込んでいる間にも次の皿を取っていた杏子が、突然声をあげた。口の中に寿司を頬張ったまま、目に涙を浮かべている。
 どうやら何気なく食べた中トロにわさびが入っていたらしい。たまたま多めにわさびが入っていたのを取ってしまったようだ。
 五秒、十秒……目を見開いたまま固まっていた彼女も、ようやく覚悟を決めたらしい。ごくり、と喉だけが別の生き物のように大きく動いた。
「うへえ、何だよこれ……」
 なんとか飲み込んだあとも口の中に違和感が残っているのか、しきりに口をもごもごさせている。
「何って、わさびじゃん」
「そりゃ知ってるけどさ。なんでかな、忘れてたんだよ、寿司にはわさびが入ってるっての」
「もしかして、佐倉さんがまだ小さかったからご家族の方がわさび抜きを頼んでくれてたんじゃないかしら」
 杏子の眉がぴくんと跳ねた。
「そうか、そうかもな……」
 杏子はもうひとつ残った方の寿司を割り箸でつついていた。酢飯の上に乗った刺身を箸で持ち上げると、その裏にべっとりとわさびがついているのを確認して、顔をしかめる。
「お店の人に頼んでわさび抜きに代えてもらおうかしら?」
「だめだ。食い物を残すわけにはいかない」
 やっぱり、そうよね。マミは少し困ったように言った。
 食べ物を粗末にしないこと。それは奔放で物事にあまりこだわらない彼女が唯一自分に、そして他人にも課しているルールだった。
「だいじょーぶだいじょーぶ。一口でぱくっと行ってお茶で流しこんじゃえば平気だって。まあいざとなったら独り身で寂しいさやかちゃんが食べてあげるから」
「それ、ウザいからやめてくれ」
「……へ?」
「振られたんならさっさと諦めろよ。でなきゃ取り返す方法を考えなよ。どちらもせず、過ぎたことをいつまでも引きずるのは、愚かだ。みっともない」
「ちょっと佐倉さん、言いすぎよ。美樹さんはまだ……」
 杏子の発言を諌めようとするマミ。
 だが、さやかはそれをすっと手を上げて制した。無表情になろうと努めている顔で、きゅっと唇を結んでいる。
「……もしかして、マミさんもそう思ってました?」
「……そうね。確かに、あまり楽しいものではなかったわ」
「ほむらも?」
「辛い思い出を自分一人で抱えておくのは苦しいことだわ。人に話して楽になるのなら、少しくらいは構わないんじゃないかしら」
「ほむらって、たまに優しいよね……ありがと。でもま、杏子やマミさんの言うとおりだよね。ちょっと度が過ぎてた」
 それからさやかは椅子を引いて席を立つと、腰を直角に折り曲げて深々と頭を下げた。
「すいませんでした!」
 店内に声が響き渡り、周囲の客の注目が集まる。マミが慌ててさやかを座らせた。
「何もあなたのこと責めてるわけじゃないのよ」
「いいんです。あたしのけじめの問題なんで。それと――杏子、目を閉じて」
「何だよ?」
 言いながらも素直に従う杏子。眉間にしわを寄せてきゅっと目をつむった。
「口開けて」
「あんあんあお?」
 目をつむって口を開けている様子は、まるで虫歯を抜かれるのを待つ子供のようだった。彼女は世間擦れしているようで意外に純朴なところがある。
 ほむらはさやかの意図に気がついた。マミも同様だったが、やれやれといった素振りは見せるだけで、さやかの行動を止めるつもりはないらしかった。
 ほむらとマミが見守るなか、さやかはまだ残っていたマグロを手でつかむと杏子の口の中に放り込んだ。
「んーーーーっ!」
 先ほどと同様の悲劇が繰り返される。それをにやにやしながら見ているさやか。
 杏子は噛むことも飲み込むこともできないまま、リスのように頬を膨らませている。救いを求めるように湯呑みに手を伸ばして――そして、中身が空になっていることに気づく。
「――っ!?」
 それでもなんとか寿司を飲み込むと、へなへなとテーブルの上にへたり込む。わさびの刺激と不意打ちとの二段攻撃で彼女はすっかり参っているようだ。その瞳に、涙目を通り越して大粒の涙がつう、と流れていった。
「あははははは!」
「もう、そんなに笑っちゃだめじゃない」
 心配そうに観ていたマミですら目尻を下げ、口元を手で覆っていた。ほむらも、思わずくすりと漏らす。
「いやーあの顔はほんと傑作だわ。いつも生意気なのがあんだけ情けない顔になっちゃって。あたしの気はもうすんだよ。お釣りがくるくらいだ」
「笑いすぎだろ……」
 普段は勝気な彼女も、いまはぐったりと憔悴しているようだ。
「ムリムリ、笑うなとか無理だって。ほむらが吹き出すレベルなんだからさあ」
「そうね、珍しいわよね」
「えっ」
 そう指摘されて、ほむらは自分が笑っていたことに初めて気がついた。
 急に落ち着かなくなって、ほむらは意味もなく椅子に座り直す。それから少し間を置いて、呟いた。
「……私だって、笑います」
 なんだか、くすぐったい。


3.
 夜。ほむら達四人は繁華街の奥深くを注意深く歩き回っていた。
 色とりどりのネオンサインが激しく自己主張を繰り返す猥雑な通りだ。少女たちが散歩するには少しいかがわしい場所だった。
 だが、こういう場所のほうが『奴ら』は出現しやすい。人の憎しみや怒り、悲しみといった感情から生まれる存在だからだ。精神世界の澱みが形ある悪意となってこの世界に現出する。それが魔獣と呼ばれる存在だった。
 なおも四人は歩みを進める。すると、繁華街の真ん中の、ふと忘れ去られたような空隙に行き当たった。元は何かの建物があったのかもしれないし、あるいは元から空き地だったかもしれない。ほんの十メートルほど行けば賑やかな大通りだと言うのに、ここには全く人の気配がない。光と音の洪水のなか、ここだけが台風の目のように静かだ。
 通りの側ははきらびやかに装飾された建物も、その裏側は惨めなものだ。風雨に晒され薄汚れた壁、歩くだけで埃にまみれそうな通路、明かりが切れかかってバチバチと音を立てる蛍光灯、その下に溜まる虫の死骸。
 生ぬるい空気に漂ううっすらとした悪臭が鼻を付いた。
 漏れてくる光のおかげで暗くはないが、この場所のために用意された照明は一つもない。今日みたいに月の明るい日でなければ、本当に穴が開いているようにしか見えなかっただろう。
 経験上こういう場所は――来る。
 先頭を行くマミも感じるところがあったのだろう。彼女は立ち止まり、ここを今夜の戦場と定めたかのようだった。
「私たち、チームで行動するようになってけっこう経つわよね」
「ん? まあ、そうだな」
 魔法少女がチームを組むメリットは大きい。一人よりも複数で戦うほうが安全なのは言うまでもないし、互いの得意分野を生かすことで消耗を抑えることもできる。たとえば遠距離からの銃撃と大火力での制圧が得意なマミと、接近戦を得意とする杏子が連携するといったように。
 そして、魔法少女のソウルジェムを癒し、汚れを取り除く「グリーフシード」も、数人で分けるには十分な量が得られる。消耗が激しい者が居れば多めに割り振ることもできるし、余ればメンバー間で分配してもいい。
 リスクと報酬を考えれば数人でチームを組むのが最も理に適っているのだった。
 もちろんそれは、メンバー間の同意があればこそである。
 彼女たち――巴マミ暁美ほむら、美樹さやか、佐倉杏子の四人は、元からの友人というわけではなかった。だが、巴マミの強い働きかけにより、いつしか彼女を事実上のリーダーとして四人は集団で行動するようになっていた。紅茶が趣味の彼女が、たびたびお茶とお菓子を振る舞っていたことも功を奏したかもしれない。
「それで、チーム名を考えてきたんだけど」
 びくうぅぅっ!!
 マミの後ろに立っていた杏子が感電した猫のように跳ねた。ひどく慌てた様子で、隣のさやかの耳を掴む。
「お、おいさやか! このままだと変な名前を付けられてそれを叫んだりするはめになるぞ!」
「痛っ! 何よいきなり慌てて」
「お前はマミの恐ろしさを知らないから!」
「……佐倉さん、ばっちり聞こえてるんだけど」
 気がつくとマミが半眼になって杏子を見つめていた。温厚な彼女がこういう表情をするとまるで怒っているような迫力がある。
 実際、杏子も勘違いしたらしく、やや狼狽していた。
「い、いや、お前が『ティロ・フィナーレ』とかやってるのは自由だと思うんだけどさ。あたしは別にそういうのいいよ。なんかふざけてるみたいで気まずいんだって」
「もう、前にも言ったじゃない。技に名前をつけるのは自分の心を奮い立たせるためだって」
 そこにさやかが急に割って入る。
「やっぱかっこいいですよね! ティロ・フィナーレ! 私も結構戦いにも慣れてきたし、そろそろ必殺技が欲しいな。さやかファイヤーとか」
「は?」
「美樹さんの攻撃って炎とか出てたっけ……?」
 どうやらさやかもマミと同じ感性の持ち主らしかった。語彙にはかなり差があるようだが。
 ともあれ、二対一だ。さやかも味方になりそうもないと分かったいま、杏子の視線は必然的にほむらに向けられることになる。
「ほむらぁー」
 彼女らしくもない情けない声がなんだか無性におかしくて、少しだけ意地悪してみたくなった。
「いいじゃない、名前くらい…………ね、まどか」
「……まどか?」
 さやかがその単語を訊き返すより先に、ビュゥッ、と寒気のする風が吹いた。ちりちりとした不快感が背筋を撫でる。
 この世のものならぬ異界の風があたりを塗り替えていく。そして、直前までは存在しなかった人影が現れていた。
 人影。
 一言で表すならそうとしか呼べないが、実際には大ざっぱに人の形をしているというのに過ぎない。大きさは人間程度だが、虚ろな表情でただ立っているだけの姿は、全く人間らしさがない。感情や知性というものを全く感じさせないのに、なぜか明確な殺意だけを過剰に漂わせている。
 この世界の悲しみ、憎しみ、絶望――そういった負の感情がより集まって人の姿をなした存在。形ある悪意。
 これが魔法少女の倒すべき敵であり、狩るべき糧でもある存在――魔獣だった。
 魔獣は十数体いるようだった。さっさと切り崩さないと囲まれてしまう危険がある。
 四人はすでに戦闘体勢に入っていた。魔法少女とは、魔獣を狩る者たちの名だ。
「オッケー、いつも通り行くわよ! 佐倉さん、美樹さんを援護して! 暁美さんは周囲を警戒!」
「分かってる!」
 すでに駈け出しているさやかを追って、杏子も走り出す。
 魔法少女たちはそれぞれに武器を持っている。さやかは剣、杏子は槍、マミは銃、ほむらは弓だ。
 だから、リーチの短いさやかが敵の懐に飛び込み、次に杏子、そしてマミとほむらが遠距離から援護するというのが彼女たちの基本戦術だった。
「うりゃああっ!!」
 ダッシュで駆け寄った勢いそのまま、さやかは一番近くにいた魔獣に全力で剣を振り下ろす。戦術も何もない攻撃だ。魔獣は肩から脇腹にかけて真っ二つになり、霧のように消滅していく。
 当然、そんな無茶苦茶な動作は大きな隙を生んだ。完全に動きが止まって無防備になったさやかに別の魔獣が襲い掛かる。腕、のようなものをさやかの背中に向かって高速で振り下ろす!
 ――ガキンッ!
 その攻撃を杏子が間に入って受け止めた。さやかは振り返ることもせず、再び走りだした。当然、敵陣により深く食い込む形になり、さやかはより多くの敵意に晒される。
「もういっちょう!」
 ぱしゅっ!
 水の入った袋を叩き割るような音を立て、もう一体の魔獣が虚空へと消え去る。
「おいさやか!」
 だが魔獣の数はとにかく多い。次の瞬間には再びさやかの死角に魔獣の影が踊る。
 ドン、ドン、ドン、ドン!
 銃声と同時、魔獣の側面にいくつもの穴が開いていた。マミの援護射撃だ。
「美樹さん、前に出過ぎよ!」
「お前、何やってんだよ! フォローしきれねーぞ!」
 さやかの背中を守るように立ちながら毒づく杏子。だがそんな彼女に応える様子もなく、さやかはその場で唐突に立ち止まった。
 攻撃の動作を捨てて、深い集中状態に入っていく。
 まるで海の底で一人たたずむように。
 静かに。たゆたうように。
 足を肩幅に開き。
 静かに深呼吸し。
 天を仰ぎ――そして、月に吠えた。


「まどかぁぁーーーーーーーーーーーっ!!!!」


 ドクン、とほむらの心臓が跳ねた。
 彼女の口から出るはずのない名前だった。
 まさか。まさか。まさか。まさか。さやかは彼女のことを覚えているのか?
 ほむらは、目が眩むのを感じていた。頭に血が上りすぎて何がなんだか分からない。鼓動に合わせて視界が揺れる。まどか。
「よし、この名前に決めたよ! 呼びやすいしさ!」
 にかっと笑うその表情は、いつもの勇敢な彼女だ。
 さやかは手にした剣を両手で握り高く掲げる。瞬間、刀身の十数倍はあろうかという光が爆発的に生まれ、バチバチと火花を立てる。
「とぉぅりゃあーーー! 必殺! まどか斬りぃぃーーーーーーーっ!」
 さやかが剣をなぎ払うと、光の嵐、としか呼びようのないものが現れた。剣の軌跡が空間に焼きつくほどの圧倒的なエネルギー。
 斬撃というよりは光で殴りつけるような荒々しい攻撃だ。圧倒的な光の奔流に呑まれ、魔獣たちは一体、また一体と瞬く間に蒸発していった。
 空間に刻まれた残光が収まると、頬を紅潮させたさやかがくるりと向き直った。
「いぇーい、どうよこれ!」
 腕をびしっ! と突き出してVサインを決める。
「言ってる場合か! まだ残って……」
 ――シュバッ!
 風圧。杏子の言葉が終わらぬうち、彼女の長いポニーテールが揺れるほどの風がすぐ隣を駆け抜けていった。
 ほむらが放った光の矢……いや、矢とは呼べないような巨大な塊だ。最後にのこった魔獣はその光に触れた瞬間、悲鳴を上げる間もなくたちまち爆発四散した。
 爆発が収まったあとにはもはや敵の姿はなかった。しばらくは警戒を続けていたが、もはや敵の気配はない。やがて杏子が戦闘態勢を解いた。
「どうやら終わったみたいね」
 同じように戦闘態勢を解除しながら、マミはその場にしゃがみ込んでいた。
 魔獣が倒れた場所に小さな石のようなものが落ちているのを、指でつまみ上げる。滑らかで光沢があり、完全な立方体をしているそれは、まるで黒い角砂糖のようだった。
 この石には戦いで消耗した魔力を回復させる作用がある。魔力が尽きればその存在が消滅してしまう彼女たちにとって、ある意味では食事のようなものと言えた。
「じゃあ、回収しましょう」
「あたしはそれほど魔力使ってないからさやかに多めに分けといたほうがいい。こいつ、無茶苦茶しやがって」
 となりに立つさやかを横目で睨みつける杏子。
「でも、かっこいい感じじゃなかった?」
「馬鹿」
「馬鹿って何よ!」
「美樹さん、さっきの技はちょっとやり過ぎよ。効果に対して威力が大きすぎる。卵を割るのに金槌を使うようなものだわ」
「すいません、なんかテンション上がっちゃって」
「まったくもう……あら、暁美さん?」
 マミの視線の先に、魂を撃ち尽くしたかのように呆然と立つほむらがいた。彼女だけがまだ、戦いは終わっていとでも言うように武器を手にしたままだった。
「どうしたの? どこか具合でも悪い?」
 気遣わしげなその言葉に、ほむらは答えることができない。ほむらの思考は、先程さやかが口走った言葉に埋め尽くされていた。
 さやかが彼女の名前を叫んだのはただの偶然だ。ほむらが漏らした言葉を聞き咎め、それを何となく使ってみたに過ぎない。
 だが、そんな偶然でもほむらを感傷の渦に突き落とすには充分すぎたのだ。思い出を一人で抱えているのはつらいことだと、さっき自分で言ったばかりだった。
 唇が震える。顔が熱い。泣き出しそうになるのを堪えているのは傍目にも明らかだろう。だが、その衝動に屈してしまうわけにはいかない。ほむらは怯む心を何とか押さえつけた。
「巴さん……あなたは何のために戦っていますか?」
 唐突な質問に、マミはきょとんとする。だがそれも一瞬のことだ。ほむらの真剣さに応えるように、真正面から彼女の瞳を見つめ返した。
「この力を使って街の人々を守るためよ。魔獣は人を襲う。普通の人達には魔獣と戦う術はない。これは私や、私たちにしかできないことだから」
 それから、さきほど拾い上げた黒い石に目を落とした。
「そしてもちろん、生きるためでもあるわ。私たちにはこれが必要だから」
 ほとんど模範解答のような言葉だ。綺麗事と言ってもいい。だが、マミにはその綺麗事を支えるだけの実力があったし、覚悟もあった。そして、少なくともマミの言葉を笑わなかった魔法少女がここに三人いる。
 ――いや、四人だ。
「私は、少し違います」
 ほむらは堰を切ったように語り始めた。
「私たちは皆、何かの希望を叶えて今ここにいます。けれど、希望が幸福ばかりを呼び寄せるとは限らない。それは、思わぬ形に転ぶかもしれない。望みはかなわないかもしれない。奇跡を願ったことを後悔するかもしれない。希望と絶望の差し引きは結局ゼロで、誰かを救ったぶん、別の誰かを傷つけるだけなのかもしれない。願った希望と同じぶんだけ絶望を撒き散らすなら、結局のところ奇跡は無意味なのかもしれない。魔法少女が報われる日なんて永久に来ない。それでも……それでも希望を抱くことは間違ってなんかいない。間違いになんかさせない! そんな世界を望んだ誰かがいたとしたら……!」
 そんな誰かがいたら……どうだというのだろう。感情だけが竜巻のように荒れ狂って自分でも理解ができないなか、言葉だけが自然に出てくる。
「……そんな世界を望んだ誰かがいたとしたら、私は、彼女の希望を守りたい」
 そうしてほむらは、初めて、自分の気持ちを知る。
「さやか、杏子、マミ……さん。私はあなた達を守るために、戦います」
 魔法少女は、死ぬ。すべての魔法少女に待ち受けているのは、避けがたい破滅の運命だ。
 ――だがそれでも、一人取り残されたこの世界で、私が選んだ答えなんだ。
 抗う術があるかぎり、それは絶望ではない。戦うべき敵がいるのなら戦えばいい。この世界には、信じるに足る希望があるのだということを、証明してみせる。そのために!
 四人の間に沈黙が降りる。
 その静寂を、表通りから響くかすかなざわめきが埋めた。そのざわめきは別の世界から届いているように遠い。
 ここは世界から切り離された場所だった。遙か頭上の満月が、漏れてくる人工の光と交じり合って、魔法少女たちの淡く頼りない影を作っていた。
 最初に動いたのは杏子だ。つかつかと歩み寄ってきて、とん、とほむらの胸に拳を突き当てた。
「よく分かんねーけど、戦う理由があるなら、あとは戦うだけだ。やれるところまでやるだけだ。全力で行ってみなよ」
 さやか。彼女は苦手な科目で教師に当てられた生徒のように。
「あー、あたしもよく分かんないけど。とにかくほむらが守ってくれるんなら安心だね」
 マミは、優しく微笑んでいた。
「私だって誰も死なせるつもりでなんて戦ってないわよ。暁美さん、あなたもね」
 自分はよく耐えた、とほむらは思った。
 拙いながらも自分の気持ちを吐き出した。それが仲間に受け入れられた。一人迷子になっていたこの場所で道しるべを見出した。もう充分じゃないか。もう我慢する必要なんてないじゃないか。
 ほむらは唇を噛んだ。
 それでも、胸の奥からせり上がってくる熱い波に身を任せたいという衝動を、すんでのところで踏みとどまる何かがあったのだ。
 ほむらは武器を構えた。
 弓を引き絞り、矢の切っ先を遙か頭上の満月と重ね合わせ、祈るような想いを指先にこめ、立て続けに光の矢を放つ!
 ヒュウゥゥゥ――――――――
 矢が空を昇っていく。光は長い、長い尾を引いて夜空を切り裂き、やがて無音の空に溶けた。その様子を、地上を駆ける流星が生まれてから消えていくのを、四人はじっと見上げていた。光が消えてからも、ずっと。
 時が止まったように月を見上げるほむら達の間を、風が吹き抜けた。流星の余韻を覚ますような涼やかな風だ。
「――――まどか」
 吹き抜けていく初夏の風、それがなんだか懐かしい声に似ているような気がした。

「小説版 魔法少女まどか☆マギカ」と「The Beginning Story」読んだよ

 「小説版 魔法少女まどか☆マギカ」読了。去年の夏に買ったのが読まないまま積んでしまっていた。
 アニメ版をまどかの一人称で再構成した小説。テーマ的には彼女の友達観が軸となっていて、友情の物語であることが強調されている感じ。基本的にはアニメ版の補完的な内容で小説版独自の設定や展開はないものの、まどかとさやかが出会いについて言及したのはたぶん小説版が初?

 自分はさやかの友人として何もできていないという劣等感から始まり、友達とはどういうことだろう、友達のためにできることはなんだろう、とまどかが苦悩していくおはなし。物語の展開に合わせて主人公の友達観が変化していくのが興味深い。当初は劣等感の裏返しとして「何かしてあげなくちゃいけない」と思い込んでいたのが、次に「何もできなくてもそばにいること」、最後にはもう一歩踏み込んで「その人が好きだということ」ところに至る。

 小説版を読むとまどかが救済の魔女になっちゃうのは納得できる気がした。
 友達のためにできること、の認識が未消化の状態で力を行使してしまったのが救済の魔女クリームヒルト、彼女なりの結論にたどり着いた姿がアルティメットまどか、という見方もできるんじゃないだろうか

小説版 魔法少女まどか☆マギカ
http://www.amazon.co.jp/gp/product/B005BOMRLU



 あと「魔法少女まどか☆マギカ The Beginning Story」も読む。
 こっちは小説ではなくアニメのシナリオそのもの。実際に本編が制作された「決定稿」と、その以前の版である「0稿」を比較するという内容となっている。とはいえ決定稿と0稿の違いはほとんどなく、基本的にはTVアニメ12話という枠内に収まるように分量の調整が行われただけの変更にとどまっている。
 でもまー、10話でカットされた分のマミさんが新米のほむほむにダメ出しするシーンは見たかったかもw

 まどか☆マギカを見る限り、虚淵玄は理詰めでシナリオを構築するライターだという印象がある。いや、どんなシナリオライターだって論理的に書くものだろうけど、まどマギは無駄なエピソードがなくて緻密にぎっちり構成されてるぶんその印象が強いというか。
 この作品は1クール12話で正解だったのかもしれないなー。ぎりぎりまで物語を切り詰めたおかげであの爆発的な瞬発力が生まれたのだろうし。

 あとは、必ずしも正しくはない人間、敗れた者や取り残された者を描くのが上手い人だというイメージかな。これはもう完全に「そういう気がする」というだけなので、他の作品見てみないと分からないのだけど。


魔法少女まどか☆マギカ The Beginning Story
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4041100453


 ちなみにこの表紙、Amazonの画像では分からないが、ほむらの後ろにアルティメットまどかが描かれている。

ほむさや考えた

 上条恭介は見舞いに訪れる幼なじみが時折連れてくる同級生の女の子のことが気になっていた。長い入院生活のなかでひそかに左手の演奏技術も磨いていた彼だったが、ある日右手の怪我が治った勢いでうっかりヴァイオリンだけでなくまどかの弦も演奏してしまう。

 復帰リサイタルが開かれたことはやがて周囲の知るところとなり、深い衝撃を受けるさやかとほむら。お互いが同じ境遇にあることを知った二人は、やがてどちらからともなく傷を舐めあうようになっていく。

 しだいにエスカレートしていく行為。二人の影には不安の色が濃く漂っているものの、それは絶望の淵のぎりぎりで踏みとどまるための無意識の抵抗だった。

「まどか☆マギカ」で「世界樹の迷宮II」のパーティ考えたよ!

 えー、タイトル通りの記事。
 お察しの通りマミさんはガンナーというところからスタートした妄想です。

元ネタ

世界樹の迷宮II 〜諸王の聖杯〜
http://s2.atlusnet.jp/

■案1 武器イメージ重視版

(前衛)
さやか→ソードマン
杏子→パラディン
まどか→レンジャー


(後衛)
マミさん→ガンナー
ほむら→アルケミスト


 このゲームには槍を武器にした職業がないので杏子のポジションが微妙ですが、まあ前衛職でしょう。9話でまどかを守るために壁のようなものを作っていたことから、パラディンということで。


 ほむらは火属性と突属性の術式を身につけたアルケミスト*1ということにします。もちろんビジュアルは眼鏡さんの方で。
 そして、ほむらが敵陣に投げ込んだ爆弾(火属性)を追いかけ、チェイスファイアで爆風の中に斬り込むさやかちゃん! まで妄想。


 まどかは得物が弓なので安直にレンジャーで。あんまり似合ってない気もしますが、警戒歩行するまどかちゃんかわいいので問題ありません。ソニックステップで回避率が高まったまどっちかわいいです。
 マミさんにアザーズステップ→至高の魔弾<<ティロ・フィナーレ>>で敵を殲滅! という大火力で圧倒する連携攻撃が見てみたいですね。

■案2 カラー考慮(?)版

(前衛)
さやか→パラディン
杏子→ドクトルマグス


(後衛)
まどか→バード
マミさん→ガンナー
ほむら→アルケミスト


 むしろさやかちゃんはパラディンとなってみんなを守る盾になる!べき! という第2案。さやかちゃんには加護(毎ターンHP回復)ついてますしね。
 それに伴い杏子はドクトルマグスに。杏子の変形槍はなんとなく巫剣のトリッキーさと通じるものがある気がします。


 そしてまどかはピンクつながりでバードに。CV的にまどかバードは普通のバードよりもかなり強力であることが予想されます。猛き戦いの舞曲でパーティの士気がうなぎのぼりになりつつ、ほむらちゃんにはさらに1.3倍の補正が付くに違いありません。

その他

 没ネタあれこれ。

さやかメディック

 癒しの祈りで契約したさやかちゃんならメディックも可能!
 という発想だったんですが、さやかが後衛に下がると代わりに前衛に上がれるキャラがいないので断念しました。さやかは白衣似合うはず(筆者調べ)なんですが。

マミさんダークハンター

 リボンで相手を拘束してからの一撃必殺という流れは華のある映像ですよね。ほとんど本編の再現でもあります。
 でもまあ、やっぱりマミさんはガンナーだろうということで。

ほむらブシドー

 時を止めて一閃、ってちょっと居合いっぽい動作じゃないですか?
 ゴルフクラブで首討ち! という電波を受信したのです。

杏子カースメーカー

 裏設定として杏子は眩惑や幻覚の魔力を持っている*2とのことなので、カースメーカーという線もありなんじゃないかなーと。

キュゥべえペット

 まあ忠義の心はなさそうですね。

■案3 没ネタ詰め合わせ

(前衛)
キュゥべえ→ペット
マミさん→ダークハンター
ほむら→ブシドー


(後衛)
さやか→メディック
杏子→カースメーカー

 というわけで上記の没ネタをでたらめに突っ込んでみたパーティ。ついにインキュベーターは自分たちで魔獣を倒して感情エネルギーを集める道を選んだようです。
 まあ、キュゥべえに「忠義の心」なんてものはなさそうですが。

さいごに

 そういえばギルド名を考えてませんでした。ここは素直に「コネクト」とか。

*1:このゲームは斬る・突く・叩くがそれぞれ別の攻撃として扱われており、銃撃は「突く」攻撃に分類されます。あるいはそういった理屈付けがなくても、爆弾の調合ってアルケミストっぽいですよね。

*2:メガミマガジン2011年7月号付録の「魔法少女まどか☆マギカコンプリートブック」のインタビューより